間の抜けた顔で指揮官が俺を見る。

驚愕の表情で、乙女が俺を見る。

その二人の顔を見ただけで、俺は傷の痛みも忘れた。

「ど…どういう事だ…紅…?」

指揮官が、やっとの思いで言葉を吐き出す。

「意味が理解できんな。どういう事、とは?」

「精鋭部隊はどうした!?貴様に預けていた精鋭部隊百五十は!?」

「ああ、それなら」

俺は手にした槍をビュン、と振った。

「全滅させた。俺が、一人残らずな」

…その言葉に愕然とする指揮官、乙女、そしてその場にいる全ての者達。

しばしの時を経て、やっと俺の真意に辿りついた指揮官が。

「き、貴様!!はじめからこのつもりで!!!」

怒り狂ったように叫んだ。

「無論だ」

俺は笑みを浮かべる。










寝返ったふりをして大国に取り入り、精鋭部隊を俺の指揮下に加え、大国軍と分断する。

その上で俺が精鋭部隊を倒す。

全ては大国軍の兵力を削ぐ為の作戦だった。