勝ち誇ったような指揮官の言葉。

…私は歯噛みする。

確かに、小国の騎士達は既にボロボロだ。

数も二万をとうに切っている。

この上、紅が率いる精鋭部隊が相手とあっては…。

「く…」

噛み締めた歯の間から、悔しげな声がこぼれた。

ここまでよく戦ってきたが、これまでか。

奮戦むなしく、最期は元の仲間だった紅によって討たれるのか…。

そんな事を思っていると。

「待たせたな、指揮官殿」

紅の落ち着いた声が聞こえた。

「おお!待ち侘びたぞ紅!!」

嬉しげに指揮官が振り向く。

私も紅の方を見る。

しかし…。














そこに立っていたのは、傷だらけで槍を携えた紅ただ一人だけだった。

精鋭部隊の姿は、どこにもなかった。