大国へと招き入れられ、俺は王宮の軍議室に入った。

…乙女のいた小国の王宮とは比べ物にならぬほどの豪奢な造り。

流石大国と云わざるを得ないほどの金のかけ方だった。

しかし…この豪華絢爛な王宮も、隣国からの略奪の結果だと思うと胸が悪くなる思いだ。

「さてと、紅」

軍議室の椅子に座り、指揮官の男が俺を見る。

「お前は我が軍の精鋭部隊を使いたいらしいな」

「…ああ。いい作戦がある」

俺は表情を変える事無く言った。

「まず、大国軍の一般兵…残るは十一万だったかな…それを全て小国軍にぶつける」

「何…?」

指揮官の顔色が変わる。

「そのような事をしても、奴らには戦乙女がついているのだ、返り討ちに遭うのがオチだろう」

「そのような事はないさ」

俺はニヤリと笑って見せた。

「圧倒的な兵力差を覆す事ができたのは、小国側に俺と乙女がいたからだ。そのお陰で小国軍の兵士達も士気が上がり、高い戦闘能力を維持できた。しかし今は違う。俺が離反した事で、奴らは落胆している筈だ」

「成程、そこへ十一万の兵をぶつければ、奴らとて無事ではすまない」

指揮官の言葉に俺は頷いた。

「更に…俺と精鋭部隊が伏兵として控えておく。小国軍が十一万の軍勢と戦って疲弊したところへ、俺が率いる精鋭部隊をぶつければ…」

「さしもの戦乙女もひとたまりもないという訳か!」

俺はもう一度頷く。

「ああ。確実に勝てる方法だ」