今後も大国軍は精鋭部隊を投入してくるだろう。

そして、俺と乙女が僅か数人の精鋭兵士を斬る間に、精鋭兵士は何百、何千という小国軍の騎士を葬り去っていく。

分の悪い戦いだ。

どんなに頑張った所で、こちらの戦力が先にゼロになるのは目に見えている。

ならば。

俺は、撤退する大国軍へと歩き始める。

「…紅?」

それに気づいた乙女が、声をかけてくる。

俺は振り向かない。

ひたすら大国軍を追う。

「紅…紅…!…紅!!」

何度も、最後には俺の名を大声で呼ぶ乙女。

それでも俺は振り向かず。

「大国軍の指揮官!!」

俺は乙女に背を向けたまま、大国軍に向かって叫んだ。














「有能な兵に、困っているのではないか…?」