十人の騎士達を一瞬にして斬り散らした紅が、私に視線を投げかける。

私は大きく頷いた。

「全軍突撃!!紅の後に続け!!この国には赤き疾風と戦乙女の加護がある!!何も恐れる事はない!!」


私の指示と共に、小国軍は一斉に突撃を開始した。

槍を、剣を構え、我先にと大国軍に襲い掛かる。

対する大国軍は、完全に士気を失っていた。

指揮官を紅によって斬られ、その紅たった一人によって十人もの騎士を倒された。

私が口にした『赤き疾風と戦乙女の加護がある』という言葉も、あながち嘘ではないと認識したのかもしれない。

何とか陣形を立て直し、小国の騎士達を迎え撃とうとするが。

「弓隊、射て!!」

小国軍の後方に陣取っていた弓兵部隊が、私の指示で一斉に矢を放つ!!

凄まじいまでの矢の豪雨に、またしても大国軍の戦意は削がれていった。

矢で傷を負った大国の騎士達に、小国軍が斬りかかる。

…戦意を喪失した大国の騎士の掃討は、最早赤子の手を捻るようなものであった。

「…よし」

私も白馬の手綱を引き、乱戦の中に突入する。

「お、おのれ戦乙女!!」

矢を受けて手傷を負った大国軍の騎士達数名が、私の前に立ちはだかる。

「勝てぬまでも、せめて貴様の首を持ち帰る!!」

亡者のように襲い掛かってくる騎士達。

それを。

「向かってくるならば容赦はせぬ!!」

私は剛剣とも言われるその斬撃で斬り散らした!!

「命惜しくば去れ!!戦乙女は、刃を向ける者に慈悲はかけぬ!!」