俺は腕組みをする。

「逆に言えば、その精鋭部隊さえ出てこなければ、現在の兵力でも五分に渡り合えるという事だな?」

「その通りだ。十回戦えば確実に七回は勝てる。あとの三回は天候などの不運が重なった時と考えて構わない」

乙女の言葉に、俺は頷いた。

現在の兵力でもそれだけの勝利が見込めるという事は、どうやら大国の騎士は数ばかりで練度が低いという事らしい。

加えて。

「乙女、お前のお陰だろうな」

「え?」

俺の言葉に、乙女は驚いた顔をした。

「お前という存在が、この国の兵達の士気をあげている」

「私が?」

「そうだ」

一国の姫君でもある乙女が、自ら前線に立ち、剣を取って戦っている。

その美しい立ち居振る舞い、そして華麗なる剣捌きに魅了され、多くの兵達が彼女に鼓舞され、戦意を昂揚されるのだ。

勿論乙女は、そのような事を計算して前線に立った訳ではなかろう。

そういう打算なき行動こそが、兵達の信頼を勝ち得る要因となったのだ。

「お前は今のままでいいという事だ」

俺はフッと笑みを浮かべた。