ヒット・パレード




トリケラトプスのような日本を代表するロックバンドともなれば、その人気に比例して彼等を快く思わない人間もいる。


単に感情的な妬み、嫉妬、あるいはビジネスとして彼等を邪魔にしている組織、団体。


目映いスポットライトが当たるステージの裏側では、そんな闇が常に存在していた。


森脇と前島は、あと少しで繁華街を抜けようとしていた。自然と男のナイフを握る手に力が入り、その鼓動は幾分速くなっていた。


カメラで焦点を合わせるように、男の視界には、もう森脇と前島の二人しか映っていない。


どちらを刺すか?………男は数秒考えた後、標的に森脇を選んだ。


なんと言っても、森脇はトリケラトプスのリーダーであり、メインボーカルである。計画が上手くいけば、バンドに与えるダメージは計り知れない………それ以外にも、傘を持っているのが森脇の方であり、襲い易いのでは?という算段もあった。


そうこう考えているうちに、森脇と前島は繁華街を抜け、比較的人通りの少ない露地の方へと曲がった。


(いいぞ、そのまま行け!)


男は、心の中で呟いて舌舐ずりをした。


そして、頭の中で犯行開始までのカウントダウンをゆっくりと数え始める。



10……9……8……7……6……5……4…

…3……2……1…………



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