最初にその異変に気付いたのは、陽子だった。
「あれっ?」
「ん、どうした陽子?」
「今、なんかお神輿の下の方で火花が散ったような………」
「火花?」
本田が怪訝そうな顔で神輿を目視するが、火花らしき物は確認出来ない。
「火花なんて出てないじゃないか」
「おかしいなぁ、気のせいだったのかな………」
陽子も再度神輿を見て首を傾げる。火花が出たと思ったのは、何かの見間違いだったのか?
いや、実はそうでは無かったのだ。
神輿から火花が出たのがほんの一瞬だけだった為、それに気付いたのが陽子だけだったに過ぎない。
大俵が乗る神輿には、確かにある異変が起きていた。
今、それに気付いたのは陽子だけだが、その異状はすぐにも大勢の人間が知る事になる。
大俵が自らのステージの為に用意した神輿。その中には高性能なモーターが内蔵されており、その動力によってステージを移動しながら、神輿上部をまるで担ぎ手が実際に担いでいるように上下運動させる機能が備えられている。
大俵のステージが始まった時から既にその機能は働いていて、上に乗る大俵をゆったりとした動きで上下に揺らしていたその神輿が…………
何故か突然、その動きを止めた。
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