スタジオの映像から武道館へと中継が切り替わるまで、あと三十秒。本田はインカムでステージの最終チェックを行う。
「神輿セットアップ出来てるか?」
『セットアップOKです!』
「イメージモニターの方はどうだ?」
『モニターの応急処置OKです!』
ステージ後ろに備え付けのイメージモニター………アーティストの楽曲に合わせて映像を映し出すこのモニターは、大俵の出演時刻変更に対するプログラムの入れ替えが間に合わず、このステージは本来の順番である《デビル・ハンド》用のイメージ映像になっている。
その為、応急的にモニターをついたてで隠して観客席から見えない様にするという原始的な手法で急場を凌いでいた。
「照明、音声、カメラ!」
『全てOKです!』
全てのチェックが完了し、大俵のステージが始まる。
ドドンがドン! ドドンがドン!
これまでのロックあるいはJポップといった音楽のジャンルとは明らかに異なる、まるでどこぞの町内の盆踊り大会そのままの和太鼓の音色。
それに笛の音、そして三味線の音がこれに合わさり、大俵の代表曲《日本全国豊作音頭》のイントロが構成される。
ドドンがドン! ドドンがドン!
ピーヒャラ ピーヒャラ
チョイナ、チョ~~イナ♪
ステージのこの一種異様な雰囲気に、客席はやや引き気味の状態。この完全アウェイなライブ会場に自ら望んで乗り込んで来る大俵の根性にはさすが大御所と、ある意味感心してしまう。それとも、ただ単に空気が全く読めないだけなのだろうか?
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