「橘先輩、ちょっといいですか」


6月に入って雨が続く
あぁ、いやになるなぁなんて
奈々と話していた放課後

突然聞こえた声
その主は

1年生の
仁戸部 慧(にとべ さとし)

ちょっと前に告白をお断りした


「じゃ、みかんばいばい」

奈々に別れを告げて
仁戸部くんのもとへ行く

「仁戸部くん、どうしたの?」


「先輩、ここじゃあれなんで
いいですか?」


「うん」


仁戸部くんは
結構かっこよくて
モテると聞いた


「先輩、俺
振られても先輩のこと好きなんです
僕じゃダメですか」


「うん、ありがとう
でも、ごめんね。」


「ふーん、いいんですかこれ。」


仁戸部くんはスマホを見せてきた
え、これ。

なんでいつの間に


「これ、田中先生ですよね?
これ広がっちゃったら
どうなるかな〜
クビだろうな。」


うそだ。だめだよ、それは
勇人ははなしてくれたんだ
昔からなりたかった先生に
遠回りしたけど
やっとなれたって。なのに



「消してよ」


「ただで、なんて言わないよね?
せーんぱいっ」


「なに?」


「俺と付き合って」

「え?
だって、モテるんでしょ
わたしじゃなくても……いいじゃん」



声が震えた



「俺、もうなにしてでも
先輩を俺のものにしたいんです」