「なに笑ってんの?俺なんか変なことしてた? なんか顔についてるとか?」

といい。
顔を近づけた。

でも、顔が髪の毛が邪魔になり見えなかったんだろう。
あたしのふわふわに巻かれたこの長い髪の毛を…
左手で少しすくい取り。耳へかけた。


「ひゃっ…」


あっ、あたし…いっ…いまなにがあった?
落ち着け!落ち着けあたし!

今…

大好きな大好きな広くんの顔が近くにあって。

髪の毛をかきあげられて。

顔を…

ほんのり紅く染まり始めるあたしの顔を…

広くんのその透き通るような綺麗な瞳が見ている。

それなのに、あたしは答える事もできずただただ、そこに佇んだままでいる。

それじゃダメだ!
返事を返さないと…
冷静にならなきゃ!
広くんにあたしの気持ちが…
ばれてしまう。
ばれちゃだめ!
いくら、昔が良くても今は今だから。
この関係を壊したくはない。
ダメ…。
幸せな今がなくなるのは怖い。