「と、桃琉。手、繋いでもいい?」
真っ赤になる彼と付き合っての初めての帰り道。
私は少し笑いながら返事をする。
「いいよ。」
「わ、笑うなよ。」
「だって陽信、真っ赤なんだもん。」
「桃琉も大概真っ赤だからな!」
陽信がそっぽ向いたらなんだか面白くなってきちゃって。
思わず、声を出して笑う。
「だ、だから笑うなって!」
「だって。陽信が.....!」
「チッ。くそ。」
ちょっと頬を膨らまして拗ねる顔がとても可愛く思える。
楽しいな。そう思える時間は一瞬で過ぎる。帰り道がとても短い。
「もう、着いたね。」
「あぁ、じゃあ。また明日。」
「うん。また明日。」
そう言った後、少し陽信を眺めて家に入る。
陽信がこっちを振り向いて
「生きてる。」
と呟いたのも知らずに。