好き、か。
「桃琉、全然、手が動いてないけど。それよりは、今日一日上の空だったけど?」
ばれてる。
私ってそんなに分かりやすいかな?
「いや、あのね。どこから好きなのかなって。カッコいいと思ったら好き?ドキドキしたら好き?一緒にいたいと思ったら好き?」
「んー.......どれも違うんじゃないか。好きって気がついたら、が一番多いと思うし。ふとこの人のこと好きなのかな。って感じるんじゃないの?」
「そう、かな。」
そう言うもの、かな。じゃあ私が焦って好きか嫌いか考える必要もないのかもしれない。
気づいたらきっと好き、って感じられるときが来るんだろう.........それが生きてる間だといいんだけど。
もし気づかないまま死んだら陽信に失礼だし、好きでもないのに付き合ってたのか、となってしまう。
「別にゆっくりでいいよ。俺が愛を与えてどういうものか教えるっていう手もあると思うけど。」

