前で左京と都騎が歩く。
その後ろで俺と桃琉が歩いてる。
けど、何この沈黙。
「桃琉。」
「ん?」
「あ、いや......沈黙やめたかっただけ。」
「..........何それ...」
あ、少しだけ笑ってくれた。
「手首、痛まない?」
「全然、大丈夫だよ......」
ぶんぶん振り回してるし.....
「いっ、いや大丈夫。」
「今、明らかに大丈夫じゃない声だしたよね。」
やっぱり病院行く方が....
「行っても捻挫ぐらいだろうし、本当にいいよ。」
「じゃあ、鞄もつ。」
ひょいっと桃琉から鞄をとる。
「え、いいよ。」
「怪我人に荷物を持たせるほど俺は鬼じゃない。」
「ありがと......」
そこで話が途切れるからまた、沈黙。
「あのさ.......何にも聞かないの。」
「んー?聞かないよ?だってそれは桃琉が話したくないことかもしれないし.....人なんだから隠し事ぐらいあると思うから。」
「そっか.....」
「本気で聞きたいことは急かすけど。」
本気で聞きたいのに後回しなんんてできない。
「でも本気で聞きたくても相手が話したくないって思ってるなってことが読み取れたら急かさない......だから聞きたくても何も聞かないし急かさないよ...今回は。」
あくまでも、今回は。
「じゃあ、別のときは急かすかもってこと?」
「そうなるね。」
クサイけど。
明日何が起きるなんてわからないから今、できることをしないとね。

