その騒ぎに隣の席も驚いたのか環が飛び出てくる。
「~っ柑也さんっ!また透真さん、怒らせたんですかっ?いつも仲良くしてくださいって言ってるじゃないですか!」
「俺、別に悪くねぇし。ほっとけば帰ってくるだろ。」
「~っもう!」
環は弟さんと話す前に言いたそうな顔をして言葉を選んで話している。
そして環もまたお店を飛び出していった。
「あのー。いいんですか?追いかけなくて。」
そっぽ向いていて振り向いてくれないので馨さんに助けを求めようと私の隣を見ると龍神さんと話し込んでいた。
「あの、弟さん?」
......
「弟、さぁーん。」
「......柑也。俺、名前あるから。」
「あ、すいません。それより追いかけなくていいんですか?透真さんいっちゃいましたよ?」
「俺は悪くねぇし!」
そう言ってまたそっぽを向く。
そんな子供みたいな柑也さんに少し甘くなりそうになるけど、ここは透真さんを追いかけるべきだ。
「透真さん、泣きそうでしたけど。」

