そっと顔をあげた真有は日陰のせいだけじゃないのだろう、青白い顔色だった。
「おい....。こんなとこでなにやってんだ。倒れるだろう...?」
「あ...。ごめんね。」
愛用のクラリネットをかかえているところから、朝練のとちゅうだったのだろう。
「....。日あたってるぞ。」
木管楽器のクラリネットは、太陽の光に弱いはず。
真有はクラリネットのことにだけは、驚くほど敏感なのに。
.....こんな大事なことを考えてないなんて.....。
「あ.......。大変....!!」
「行こう。ここにいたら、熱中症になる。」
「え...。でも....。」
「いいから。ほら。」
俺は半ば無理やり真有をたたせて、校舎へ向かった。