まだ、ボソボソとなにか文句をいっていたので私はハァ、とあからさまにため息をつき、理事長室に置いてある黒のソファにポスッと座る。
すると、観念したのか諦めたのかわかんないけど新ちゃんも向かいのソファに座った。
新ちゃんは、さっきとは違う、真面目な顔をして私に言った。
「本当にここでよかったのか?」
と。私はコクン、っと頷いて窓の外を見た。
ここに来た理由は、もう新ちゃんにはいってある。そのことについて深く聞いてこないところが新ちゃんの優しさなのかもしれない。
新ちゃんは、誰にでも優しい。
こんな私にさえも優しくしてくれるんだもん。
