聞いたこともない、
彼の切ない声色を聴いた。
驚いて彼を見つめると、
彼は泣きそうな表情になった。
え?え?え?え?え?
「朔のアホ!バカ!鈍感!!
…何で!
連れ去られちゃってんの!?
何で!!
遼のバイクに乗ってんの!?
何で!!!
男と二人になってんの!?」
李斗の口から普段からは
想像もできない言葉が
次々と出てくる。
「ちょ、ちょちょどどど??」
「朔は、俺のものなのに。」
超弩級の爆弾投下後大爆発。
やべっっっっっ!!!!!
「李斗!!!離して!!!!!」
「は!?何で!!!!!」
「でる!!!!!!」
「何が!!!!!」
「鼻血!!!!!」
「は?」
驚いて李斗は
抱き締めていた腕を解くと、
「アハハハハハっ!!!」
思いっきり笑い出した。
「てぃ、ティッシュ!!!」
「朔、大丈夫だよ。」
そう言って、李斗は道着の裾で
私の血を拭いて鼻を押さえ出した。
「な!?何してるの!!!!!」
「鼻血止めてるの。
わからないの?バカ朔。」
「道着に血ついちゃう!!!
離して!!!!!」
「嫌だね。
別に、朔の血ならついてもいいし。
ってか、血なら、
洗えば落ちるだろ。」
「い、いや、それでも!!」
「ほら、行くぞ。
自分で鼻押さえろよ。」
「え、どこへ…」
「救護所」
そう言って、李斗は
私を抱えたまま立ち上がった。
「ちょ、え?は?
何してんの!!!???」
「何って、んー、
お姫様抱っこってゆーやつ?」
「じじじ自分で歩けるから!!
大丈夫だから!!!」
「へー、ふーん、そう。
俺の誘い、断るんだ。」
「い、いや!!
決してそーゆーわけじゃ!!」
「もう二度とないチャンス…、
かもしれないよ…?」
ニヤリと笑ってそんなこと
言われるとこの絶好の機会を
逃すのが勿体無くなってきて…。
「お、おおお願いします。」
「了解。」
身を預けることにしてしまった…。

