ツンデレ彼氏をデレさせろ。




バイクは、車じゃ通れないような
家と家の間や、
狭い道を通ったり、
大通りでは
猛スピードで駆け抜けた。



運転に余裕がある時に、
私は、何であの場所にいたか
事情を説明した。



ーすると。



「ははは、それは、
踏んだり蹴ったりだなっ!!」



ーと、爆笑する深津。



「もう!!笑い事じゃないよ!!!
大変だったんだからねっ!!」




「メッチャ笑えるんですけど。
そんなアンラッキーなことが
ふつー続くか??」



もう、何を言っても、
深津の笑いは止まらないんですよ。




「あー、笑った笑った。
ほら、見えてきたぞ。」



そう言われて前を見ると、
試合会場である体育館が。




「深津のお陰で、
助かったーっ!!」



時間は残り10分。
たぶん、ギリギリだけど、
間に合いそうだ。




「どーいたしましてー。」




「今日の深津は、
いつもより、すごく
カッコよかったよっ!!」



「『いつもより』は、余計だろ。」




「ははっ。」



良かった。
なんとかなったよ。
“約束”守れそうだよ。



「本当に、今日はありがとうね、
深津。」




「ああ。
礼に可愛い性格の良い女の子
紹介してくれ。」



「んー、考えとく。」




ーと、言って、私も笑った。




ーそして。
会場の玄関前に到着。



残り、5分。



「しっかり
李斗を応援してやれよ!!」



「任せといてっ!!!」



ヘルメットを返し、
私は、ラストスパート走り出した。









「あれくらいお互い溺愛してたら、
入る隙もないっつの。」



そう言って、深津が
切なさと笑顔の入り乱れた表情で、



「まあ、願ってるけどね。
二人が幸せになることを。」



そんな独り言を呟いて
帰路に立っていたなんて、
汐那 朔が知ることは
一生ないんだ。