元気そうなおばあちゃんを見て、
ホッと安心して、
ハッと気付いて時計を見ると。
試合開始まで、残り一時間半。
よし、今出れば、李斗の試合に
十分間に合う。
話も少しなら、できるかも!
ーそんな期待を抱いていた。
「お母さん…っ、」
私がお母さんを呼ぶと
察知してくれたらしく。
「あ、そうね。
そろそろ行きましょうね。」
ーと、言ってくれた。
「もう、帰っちゃうの?」
おばあちゃんには、
本当申し訳ない。
「朔、約束があってね。
大急ぎで
行かなきゃいけないのよ。
お母さんが倒れたってきいて、
慌てて顔だけ
見に来たんだからね。」
「あら、それは、
悪いことしたわね。
ごめんね、朔ちゃん。」
「ううん、今行けば
間に合うから、大丈夫。
おばあちゃん、大事にしてね。」
「うん、ありがとう、朔ちゃん。」
おばあちゃんの笑顔も
見れたし、さあ、李斗の元へ!
ーと、思ったところに。
ートントン。
ノック音が聞こえた。

