「…本当はさ。不安だった。」
「?」
「またケガして痛い思いするのも
嫌だったし、
応援してくれる人の期待を裏切るのも
怖かったし、
剣道することが怖かった。
本当は、今でも怖い。」
李斗に抱き締められる強さが
強くなった。
嬉しかった。
いつもいつも、
私が李斗を頼ってばかりで。
いつもいつも、
追いかけるばかりで。
いつもいつも、
私ばっかりが李斗を好きで。
けど、
李斗に頼られてるって感じられて。
すごくすごく嬉しかった。
「李斗、大丈夫だよ。
李斗は李斗らしく
頑張ったらいいんだよ。」
こんな言葉で、
李斗の支えになるなんて
思ってない。
だけど、少しでも。
少しでもいいから、
李斗を安心させたい。
「李斗、私はいつでも、
李斗が大好きで、応援してるし、
傍にいるからね。」
私も、李斗を抱き締め返した。
初めて抱き締め合った。
本当に温かくて、心地いい。
すごくすごく幸せな気持ちになった。
「ばーーーかっ。」
すごく楽しそうに笑う李斗に
私までこれ以上ないくらい
嬉しくなった。

