ツンデレ彼氏をデレさせろ。




ーふわっ。



李斗の香りをすごく至近距離に
感じた、その瞬間。



ぎゅ。



後ろから抱き締められた。



「ど、どどどどどどどどしたのかな!?!?李斗!?!?!?」



「クス。慌てすぎ。



話すから。
聴いてくれる?」



「う、うん!もちろん!」



「俺さー、明日の試合にかけてんだ。」



「え、あ、うん。」


「自分で言うのも信憑性ないし、
ナルシみたいで嫌なんだけど。



去年、俺、
けっこー強かったんだよね。
けど、去年の大会の直前に
試合できないぐらいのケガして。
出れなかった。」



「え。」



知らなかった、李斗に
そんな過去があったなんて…。



「本当に悔しくてさ。
剣道やめてやるって何度思ったか
わからない。



けど、一年経ったら、
受験勉強しなきゃだから、
どーせ引退だし。
他のスポーツとかもやってるわけ
じゃなかったから、
どーせ暇だし。



剣道のことも好きだったから、
もう軽い気持ちで続けることにした。



けど、やってるうちに、
せっかくやるなら、
真剣にやろうと思いだして。



そんな中、朔と付き合うことになって。
そのうち、
朔が押し掛けてくるようになって。



手、抜けねーなって思った。」




ーそう言うと、
李斗は私をぐるりと反転させ、
私と李斗は向き合う形になった。



「だから、責任持って、
明日、観に来いよな。」



ーそう言う李斗の表情は、
笑顔ですごくすごくかっこよかった。



「うん!!!」



ぎゅ。


「!!!!!」



再び、抱き締められ、私は、
李斗の腕の中。