遼Side



さっき、李斗が何を俺に話しに戻ったのか。
ま、そこが気になるところだと思うけど。
俺の口から説明すると。



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「遼!」




李斗と分かれて少し歩くと
奴の声が聞こえてきた。



「どした?」



…さっきはあんなに怒ってたくせによ。



「お前の魂胆は見えてんだよ。」



「何のこと?」




トボけてみるけど、わかってるさ。
魂胆が見え見えなの。




「遼が朔に気持ちがないことも、
俺がヤキモチ妬いて暴走する姿を
見る為に朔と仲良くしていることも。」



「だから?」



「だから、別にいーんだけどさ。
朔と仲良くするの。
遼が親友の俺の彼女を寝取るとも
思えないし、
朔のこと、俺も信じてるし。」



「あ、そ。」



「けど、朔のこと名前で呼ぶな。」



「は?」



「んじゃな。それだけだから。」



「そんなこと言う為に
わざわざ帰ってきたのか?」



「そだけど?」



「その態度を汐那の前でも見せたらいいのに。」



「………。」



「そんなんじゃ、いつか愛想尽かされるぜ?」



「………わかってる…。」



「…まぁさ。
李斗の気持ちもよくわかるけどさ。
過去にあんなこともあれば、
簡単に惚れることなんてできない。



…でも、汐那がそんな奴じゃないことわかってんだろ?
それがわかったからこそ、
付き合ったくせに。」



「…言われなくても。」



「それなら…、」



「わーってるよ!」



声を荒げた奴の顔を見ると、
見たことないくらい、
顔が真っ赤だった。



「お前…、」



吹き出すのを必死で抑えていると、



「うるっせーな!!
そんだけだから!!
朔は俺のなんだから、
触んな!呼ぶな!!見るな!!!」



クラスメイトなんだから、
最後のは、無理だろとか思いながら
笑いながら去って行く奴の姿を見ていて。



「あ!そーいえば、
近くを三宅が歩いてたぞー。」



三宅が汐那に気があることは、
有名な話。
気付いてないのは、
天然鈍感おバカちゃんな
本人さんぐらい。



「チッ!!!
早く言えよ!!アホ!!!」



李斗はというと、
盛大に舌打ちして
彼女の元へと全力で向かった。



教えてあげたのに、酷い仕打ち。



本当は彼女のことが
大好きで大好きで仕方ないくせにね。



本当不器用なんだよ、アイツは。