ツンデレ彼氏をデレさせろ。




ー始まりは、1年程前の
李斗のこの一言だった。



「汐梛 朔って、有名なの?」



「えっ?」



俺は驚いて、
思わず固まってしまった。



李斗は、
元カノの信じられないような
裏切りによって、
女の人を信頼できなくなっていた。



信頼するどころか、
興味すら持たず、
絶対に関わらないという態度を
貫いていた。



そんな李斗から出てきた名前は、
男っぽい名前だが、
この名前の
主は正真正銘の女の子だ。



「興味、あんの?」



驚きながら、尋ねると、



「バカか。
俺が女に興味持つわけねーだろ。」



一蹴された。



「じゃあ、何で?」



「よく呼び出されてるし、
なんか
よく授業中寝てるらしーじゃん。
この学校で、寝るって、
余程の勇者じゃなきゃ
できねーだろ?」



「まあな。」



「だから、その勇者が
どんな奴かと思っただけだよ。」



俺をバカにしたくせに、
バカはオマエだよ。
そうやって、気にすることを
“興味がある”っていうんだよ。



ーなんて、思うけど、
李斗は認めたくねーんだろーな
と、思って、



「あ、そう。」



ーと、答えた。