辺りはどこまでも『白』が広がっていた。

ふわふわと体が浮かび上がるような感覚に捕らわれる。
この感じ久しぶりだなぁ。最近寝てないからこの快感忘れてた。
明日香は眠りの中で微笑む。


名探偵と言えば、シャーロックホームズか明智小五郎が有名か。
並外れた推理力や洞察力、そしてなによりその知識を利用して御蔵入りの事件まで解決してしまう。

探偵小説を馬鹿馬鹿しいと思うのは本当だ。だが、その現実離れした世界観がたまらなく好きなのも事実だった。
ホームズに至ってはシリーズを何度読み返したか分からないくらい好きだった。

…あのカードのこと抜きにしても、1度くらい夢で探偵に会ってみたいなぁ。

やはり理想の探偵はホームズ。
パイプをふかしていて普段はその辺のおっさんとかわらないのに、事件になったら目の色を変える。
それで、やっぱりイケメンがいいな。
夢で会う探偵でさえイケメンだったら、現実に名探偵がいなくても我慢できる。

「あれ…」
1面の白がだんだん変わり出している。ゲームのように、中心に向かってグルグルと渦巻き状になっていた。
唖然と見ている間に目の前にある形が浮かび出す。
「これって…」
明日香の目の前には、巨大な『扉』が姿を現した。

「古賀様ですね。」
「わぁ!?」
突然現れた扉に近づこうと数歩進んだ所で、後ろから突然声がられた。