あれ以降鈴美と俺は一緒にいることが多くなった登下校や授業の合間の休み時間、昼休みとか。クラスの皆に「幼馴染みは脱却か~」とか「夫婦になるのも時間の問題か~」など言われたり。鈴美は一々赤くなっていたが、俺は冷やかしなんて正直どうでもいいし。

何より鈴美と過ごす時間が堪らなかった。ずっと鈴美が隣に居てくれるなら、俺が一人前になって鈴美を養える位自信が出たら、プロポーズもありかな…そう考えていた。

ー誕生日当日ー

この日正式に次期当主として〔仕事〕の時の名前を拝命する。

ちなみに母さんは時水(しみず)だったな。…さて、向かいますか。

ー時宮邸談話室ー

「冬哉。此れから次期当主としての名を伝える。仕事の時は〔時凍〕(しとう)と名乗りなさい。」母さん──時水様が言った。

「畏まりました。〔時凍〕確かに頂戴致しました。」冷静に俺が言うと、時水様が続けて

「其からもうひとつ、冬哉には許嫁がいます。」

「えっ!?待って下さい。私には心に決めたひ──」人がいます。と続けようとしたが、

「お入りなさい。」襖の向こうで失礼します。って──えっこの声、まさか。鈴美!!