学校の帰り、私は少年の家に行った。課題の答えを言うつもりで。


少年は昨日と同じ場所で昨日と同じように描いていた。

 家の壁から少年の様子を見ていると少年が笑った。ドキッとした。

 
 「気づかれてるって」
私ははにかみ、少年の前に出て行った。
いつもそんな感じで微笑んでいるのかな。


 「なんであなたが私の名前を知っているのか分かりましたよ。



少年はその言葉を待っているようだった。


 「あそこの通学路で私たちのこと知ってたんですよね」


 「正解…じゃぁ、僕はいくつに見える?」


少年は私のために座るスペースを分けてくれた。


私は町を見た。空には鳥が仲好く飛んでいた。

 
 「私と同じ中学三年生くらい?」

 「……プッ。不正解でした」


少年は笑っていた。私のことで笑われているのにあんまり怒る気持ちにならなかった。