それにしても…顔が近い。

 普通に喋っていて気付く事無い少年の顔に少し顔が赤くなった。



 「いや…」
 「ほら、手どけて」


私の胸の前にある手をどかして、ブレザーに手をかけた。一つ一つボタンをはずしていく度にドキドキが強くなっていく。少年がシャツに手を取ったとたんに声をあげた。


 「やめて!」
 「ご、ごめん。何かあった?」
 「いや…大丈夫。一人でできるから」


少年は私の頭に手を置いてくしゃくしゃすると私から離れて行った。


足が、ガクガクなってその場に座りこんだ。あの時の記憶がよみがえってくるようで怖かった。


 私はお風呂場にある鏡を見てシャツを脱いだ。胸のところにある醜くて、一生治らない傷がまた、心を痛めつけた。