何で僕は君に出会ってしまったんだろう…

こんな苦しい想いを抱くくらいなら、いっそのこと死んでしまえばよかった。

ねぇ、神様…。
どうして僕は幸せになれないの?

体も病弱、あのこも死んでしまった。

何をかてに生きていけばいいと言うの?

神様のいたずらなら、早くあのこを返してよ…


―2012年 秋 ―
雪楽side

秋風が吹き始める今日この頃、僕は久し振りに学校に来ていた。

(あー…、頭がくらくらする…)

実はと言うと、あまり体調は良くない…(汗っ)

まぁ、病み上がりだし、仕方ないっていうことでw

おぼつかない足で、やっと教室の近くにたどり着く。
…が、視界が眩み始める。
「はぁ…はぁ、ヤバいっ…」

「え?」

あ…、女の子の声だ…。 意識朦朧の中、そんなことだけが記憶に残った。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 
「ん…」

目を覚ますと一番最初にカーテンが目にはいる。

「……」

「あ、起きたん。具合はどう?」

「…あんた、誰」

「あはは、だよね。あたしの名前は、品川 優夏。気軽にユナツって呼んでよ、春野 雪楽くん」

「何で僕の名前、知ってんの。気持ち悪ぃんだけど」
「あぁ、みんな知ってるよ。いっも補習のセツラくん」

「……好きで補習なんかしてねぇし」

「そっかぁ」

ユナツがニコニコしながら、こっちを見ている。

馬鹿にしてんのか、こいつ…

「…もう寝るからどっかいけば?」

「せっちゃんが寂しくなるから、ここにいる~」

何だよ、『せっちゃん』って!…つーか、寂しくねぇよ!

つくづくムカつく女だなっ!

…でもまぁ
「好きにすれば?」

「好きにする~」


面白いから、仕方なしにつるんでやるか。 


「…つーか、さっきからずっと思ってたんだけど、何でずっとマスクしてんの?」

「あ…、これな。何でもないから気にしないで」

「話したくないのか」

「そういう訳じゃないんだけど」

ユナツが目をそらす。
動揺しているのか、手がカタカタと震えていた。

「…嫌なこと聞いてごめんな。今のはなしという事で」

「あっ、うん!」

ドキッ…

ユナツは、多分テストだと百点満点の笑顔を僕に向ける。

不覚にもドキッとしてしまった僕の心は、案外脆いらしい…

「…ったく、調子狂うな」
「へぇ?なんかいった?」
「何も。そろそろ教室帰るわ」

「あっ、待って」

ユナツが僕の制服の裾をギュッと握る。

「あの、よかったらなんだけど、ラインのID教えてほしいなぁー…なんて」

「あぁ、IDね。別にいいよ」

「えっ!交換してくれるの!?」

「交換することすら嫌がるかと思って」

はぁ?
一体僕は何だと思われてんた!

追及したいところだけど時間が無いからさっさとIDを教えて保健室から足早にでる。

すると制服のポケットからメッセージ音楽が流れてきた。

差出人は、ユナツから…


『あした!またね』


最初と違って、結構可愛いやつじゃん。

少しにやけた顔を抑えて返事を返した。