お兄ちゃん………やっぱり怒ってるよね
『ごめんね………お弁当』
隆「千尋」
『は、はい』
隆「ほんとにお前が寵姫なのか?」
『な、なんか勝手に…………』
隆「そうか………」
お兄ちゃん…………悲しそうな顔
隆「これから言うことを聞け」
『な、なに?』
隆「極道の娘としてこれまで命を狙われたことは何度かあった。だが、俺や親父………リキト達みんなが助けてくれた。それは仕方がないことなんだ。俺達一族が極道だからだ。でも暴走族は違う。俺はこれ以上千尋に危険な思いをしてほしくない。千尋が嫌だと言うんなら今のうちだ。俺から零斗に言っておくから…………」
お兄ちゃんは今までにないほど真剣で
私のことを考えていてくれたんだと
純粋な気持ちで思った
でも決まったことを撤回するのは
私の中の何かが許さない
『お兄ちゃん……私大丈夫だから』
大丈夫…………じゃないけど
お兄ちゃんに迷惑はかけられない
隆「そうか……族に今の俺は手を出せない。だが千尋に危険が迫ったときは必ず助けに来るから。それと……」
ん?それと?
お兄ちゃんの顔が変わった
隆「ネックレスはどうしたんだ?」
ネックレス……?
ふと、自分の鎖骨あたりを触る
『な、ない!』
どこに落とした?!
『ごめんお兄ちゃん!探すから!』
隆「あ、あぁ。じゃ、今言ったことすべて、忘れるなよ?」
『うん!あとお弁当ごめんなさい!』
そして私は昼休み終了の鐘を聞き
急いで………お兄ちゃんから逃げるように
空き教室を出た_______

