「そうだ、男子苦手だもんね。っていうか、迎えに来たなんて光に言うやつがいたらあたしが許さん!とりあえず上段一発くれてやる。」

しーちゃんがせいっ!と上段突きの振りをする。私がははは、と笑い声をたてると、しーちゃんも微笑んだ。

「おはようしずく、秋友。何の話してんの。」

1人、男の子が話しかけてきた。
名前は西真琴(にしまこと)。しずくとは幼馴染で、小さい頃から空手の稽古を一緒にしていたそうだ。私は西くんに対してはまだ普通に喋れてる、と思う。

「おはよう西くん」

話しかけてくれることが嬉しくて、すこし緊張しながらも挨拶を返すと西くんはニコッと笑ってくれた。

「おはよう真琴。さっきの話は女子のあたし達だけの話だから秘密ね。」

「なにそれ、気になる。でもまぁ、それならしょうがねえよな。」

西くんは残念そうに肩を落として言った。

しーちゃんも、西くんもひとつひとつの動作が絵になるというか。人を魅了するものがあると思う。実際2人はクラスだけでなく学年でもかなり有名らしく、友達も沢山いるようだ。そんな2人がよく私と行動を共にしてくれているのは何故なんだろうと不思議に思うことはいつもで、でもそれがすごく嬉しくて、私はずっと2人のお世話になっている。