【短】氷のプリンセスとチョコレート。



「私...湊くんに言わなければならないことがあります。」



何かを決意したかのように


歩くのをやめて俺の前にきた美咲。




「...さっきのは...嘘なんです」



「さっきのって?」



掻き消えてしまいそうな小さな声で言った美咲に


俺はやさしく聞いた。




「チョコ...本当はあるんです。」



「え?マジで!?


でも、教室では......」



「はい...教室では恥ずかしくて言えなかったんです。


嘘なんてついてすみませんでした。」



「...いいよいいよ!俺は別に気にしてないから!


だって、美咲ちゃん俺のためのチョコ持っているんでしょ?


俺 嬉しいもん!」



「そうですか?なら、どうぞ。」


手に持っていたスクールバッグから出された


かわいらしくラッピングされている


小さいチョコレートケーキ。



「これ...俺がホントにもらっちゃっていいの?」



貰えるとなると


なんだか俺がもらっちゃ


もったいない気がしてくるから不思議だ。