「何か、授業について質問か?」
俺は少しうろたえて、うわずった声で聞く。
するとそいつは
「先生、来てください。」
と感情の籠っていない声で言った。
本来ならどうしたのか聞くべきだが、気がついた時にはもう俺は立ってそいつの後を付いて行っていた。
付いて行かなければならない。
そんな感情に押されて――。そいつは渡り廊下を無言で歩き続け、俺が付いて来ているか確認しようともしなかった。
いきなりドアの前でピタッと止まったので俺は思い切りそいつにぶつかると、振り向いて思い切り嫌な顔をされた。


改めてドアを見る。
そこには素っ気ない字で"紅茶部"とだけ書いてあった。