授業の終わりを告げるチャイムが耳に届いて、それは受話器を通り彼の耳にも。

『あと一時間、頑張って。終わる頃に迎えに行くから。』

それは、その言葉が示す意味は。
私にトクベツな人が居ると言う事実を決定付ける行為。
そんなことをしてしまったら、
柚月くんのファンになる子がまた増えてしまう。

一方的、切られた電話。
無機質な音が、耳を通って頭の中で響いていく。
どこか遠く、授業開始のチャイムが鳴った。
ああ、無情にも時間は過ぎる。刻、一刻と過ぎてしまう。




「あ、お帰り。」
六時間目が終わって、ミッちゃんの前の椅子に腰掛ける。
スマホを弄る彼女から視線を外して、ノートを取る。
彼女が書き記したノートを見ながら写していく。

「あの、澪ちゃんって鮫嶋くんが好きなの?」
「「は?」」
思わず、二人で声がはもった。
この人、どうしたのかな。
私、趣味そんなに悪いように見える?



なんて、失礼なことを考えていた。