『ねぇ、澪。」
「うん?」
『僕はね、別にばれてもいいと思ってる。というか、澪が僕の存在を隠しているのは何のためなの?』
「だって。そしたらみんな、柚月くんに興味持っちゃう。そしたら、嫌だもん。」

むぅ、と唇を尖らせる。
判ってる。これは紛れもない、嫉妬。
女の子を醜くしてしまう、こんなあられもない私。
柚月くんは、私に声を掛けてくれた。
助けてくれた。
だから、失望させたりしたくなくて。
私は必死だった。
彼の気持ちを私に釘付けなんて、きっと出来ない。
学校一の美少女なんていわれても嬉しくない。
そんな容姿なんてなくてもいいから、柚月の心を私に向かせてほしい。

『ふっ。そんなことだったの?』
鼻で笑ったように、彼が呟く。
「そんなことって言わないで・・・。」
もう、泣きそう。
『ねえ、澪。僕は誰より、澪が好きだよ。澪しか、いらないんだ。』

嘘。
頭の中で勝手に否定する。
そんなわけないって、彼の気持ちさえも否定してしまう。

私が自分に自信がないばっかりに。彼を傷つけてしまう。