たたたっと走る音がして、外の門に手がかかると同時に、先輩は私に気がついた。 何も話しかけられない。 「おれんちに、なんか用?」 先輩は、黙ったままの私に首をかしげながら、自転車に乗って遠ざかっていく。 はーっと息を吐いた。 全身の力が抜けていく。