私は、ハアハアと荒い息。
さとブーは、涼しい顔。


「大丈夫か?」

こういうとこ、ちょっとムカつく。

こんなの余裕だって感じで、スッと立ってて、ハアハア言ってる私を優しい目で見つめるとこなんか、最悪。


「俺、ここで待ってるから、行ってこいよ。」


「えー?無理だよ!」

「大丈夫だよ。忘れ物を届けにきたって言えば、怪しまれないし。」


「何それ?」

「いいから、早くいけ。」


さとブーは、私の背中を押した。

振り返ると、さっきまでの笑顔は消えていた。

らしくないほどの真剣な表情で、小さく頷く。