夜景飛行


彼は部屋にいない

もう明るくて元気なふりをしなくていい

最後に思いっきり泣いていこう


泣き虫で気が小さいくせに嫌われるのが怖くて

物分りのいい素振りをしていたわたしは

彼に本当の自分を見せていなかったことに
初めて気づいた


そうか

受け入れなかったのはわたしだ

彼は不満だったのかな

寂しかったのかな


二人の間の見えない壁が彼には見えていたのかもしれない