わたしは彼の部屋に置いてあった私物をまとめ始めた キッチンの脇に捨てずに畳んであった ミネラルウォーターのダンボールを 組み立て直し荷物を中に入れた ダンボールはふた箱になった 送り状に自宅の住所を書き込んでいる時 不意に止まっていたはずの涙が溢れた この部屋からわたしが居た痕跡がなくなるのだ 胸にナイフが刺さったような痛みを感じた