“お似合いだよ”なんて……


悲しくて俯く私に見向きもせず、悠先輩はさっさと生徒会室に入ってしまう。

やっぱり、悠先輩は意地悪なだけなの?



「もう、行こう…?」



私は柳君に促され、とぼとぼと歩き出した。


悠先輩、やっぱり私の事なんて何とも思ってないんだ……

期待しちゃって馬鹿みたい。
恥ずかしいよ。


落ち込むのは解っているのに、ぐるぐると考えてしまう。

思考は悪い方へ悪い方へ、ループする。



でも、柳君は落ち込む私に何も言わず側にいてくれた。



柳君はいつも優しくて、私を甘えたくさせる。
でも、甘えちゃいけないんだよね。



「ありがとね、柳君」



無意識に感謝の言葉を口にした私に、柳君は怪訝な顔をした。



「ありがとうって、何に?」

「だって……いつも優しいなって思って」

「んー俺、そんなに優しくないよ。基本自分勝手だし」

「えっ!柳君は優しいよ!!」



本気で驚いたけど、柳君は至って真面目に言う。


「そりゃ、美晴ちゃんには良いトコしか見せたくないから頑張ってるもん」

「えー、ナニソレ(笑)」

「笑うとこじゃねーから(笑)」


ホラ、やっぱり優しい。
そうやっていつも私を笑顔にしてくれる。



もしかして、私には意地悪な悠先輩より柳君が合ってるのかな……

なんて。



正直、もしかしたら柳君は私の事……って考えた事が無い訳じゃないけど……



でも心の中でもう一人のわたしが

「そんなワケないでしょ」

とブレーキをかける。



そうだよ、大体、柳君みたいな優しくて人望もある人気者が、私を好きにはならないよ。




危ない。

また恥ずかしい勘違いをするとこだったな。

学習能力の無い私。