「あと、打ち上げまで10分か。」
あれから30分くらい探しているけど、全然見つからない。
何処に行ったんだろう?
「大丈夫だよ。きっと田中達も探してる。」
私を安心させる為か伊藤君が励ましてくれた。
その瞬間。
伊藤君が私の視界から消えた。
?!
「学君じゃない?久しぶり♡あれぇ?友達の田中あかりは何処にいるの?もしかして、これ、あたしのチャンス?」
そう言って、甘ったるい声をあげているのは、確か……
「清水奈々?!なんでいんだよ!!」
そうだ。
前の自然教室で伊藤君とあかりの仲をゴタゴタにしかけた人だ。
「いいじゃん?別に。それより、田中あかりいないの?じゃあ、あたしと回ろうよ!どうせ暇でしょ?!」
そう言った清水奈々は伊藤君の腕を絡め取り、伊藤君を何処かに連行して行った。
「おいおい!!学!!嘘だろ?鈴木どーするんだよ!!」
伊藤君は清水奈々に引っ張られながら答えた。
「後は頼んだぁぁぁぁぁ!!!」
…………嘘でしょ。
