「面白いな。」


つい吹いてしまった。


「……!」

「顔が。」


瞬間。田中の動きが止まった。

しまった。
こいつ、自意識過剰なんだっけ。


ヤバイよ。
顔が面白いなんて言ったら殺される。



「アタイの顔を褒める時は、
可愛いでしょ?!」


やっぱり…



丁度その時、宿泊する宿に着いたみたいだ。

バスが止まった。



「着いたっぽいぞ。」


「うん。降りよっか。」



2人でバスから降りると、
クラスごとに分かれて点呼をとっていた。



「ねぇ。」


すると知らない女から声をかけられた。


知ってるな。
同じクラスのやつだ。

名前は知らない。



「伊藤君、学級委員じゃない?
だから、点呼とるの手伝ってくれない?」


あぁ!
この女、同じ学級委員の清水奈々(しみず なな)じゃん。


忘れてたわ。



「わかった。じゃあ、清水さんは
女子の点呼頼んでいい?」


「うん!もちろん!
じゃあ男子は伊藤君にお願いするね!」


途端にニコッと笑う清水さん。
普通に可愛い。