なんでか田中は迷子になった自覚がないようだ。
「結構走ったから疲れたね。ちょっと休もうか。」
田中はそう言って近くに立ってる木の根のところに腰をかけた。
「学。」
急に呼ぶからビックリした。
「なに?」
「学は今までのメイクとこのメイク、どっちの方が好き?」
今までのって厚化粧か?
そりゃあ今のだろう。
でも急に変わると顔が薄くなった気がするんだよなぁ。
でも俺的には今の方が好きなんだが。
今までのは田中の可愛いさ?半減みたいな?
田中が可愛いとはいってないぞ。あくまで客観的に見ての話だ!!
「……今の」
なんか恥ずかったから、少し視線を下に向けて答えた。
すると、田中はパッと顔を明るくして喜んだ。
「本当?!じゃあこれからずっとこっちにしよう!」
え?!
「田中?!いいのか?!あくまでこの意見は俺の意見だぞ?!周りの男子の意見はわからないぞ?!いいのか?!」
この俺の意見で田中の化粧が変わって人気が落ちたら、こいつのことだから俺のせいにしてくるだろう。
そうなったら困るんだ!!
