西園寺に連れてこられたのは更衣室ではなく、何故か保健室だった。
放課後だからか先生は不在で生徒も誰一人居なかった。
「ねぇ、西園寺。私、怪我はしてないよ?」
確かに最初は突き飛ばされて背中をちょっと打ったけど、でも痛みはないし保健室に来る程のことじゃなかった。
「………西園寺?」
西園寺は私をベッドに座らせると、何も言わずに抱きしめた。
「すげぇ心配した……」
さっきまであんなに怖い顔をして低い声で女の子達を圧倒していた西園寺だけど、今目の前に居る西園寺はとても小さくて弱々しかった。
「………ごめん。
でも、何で私があそこに呼び出されたって分かったの?
確か、西園寺は生徒会に行ったんじゃ………」
そう、西園寺は私と分かれてから生徒会室に向かったはず。それなのにどうして……
「生徒会室に行く途中、お前が女グループに連れられて体育館に向かってるのが見えたから。
久しぶりに全力で走った。」
そういえば、彼女達の前で抱きしめられてた時体が熱かったような………
「本当はもっと早く出て行きたかったけど、唯那が一人で立ち向かってたし、それに………」
そこまで言うと西園寺は何かを思い出したのか顔を赤くした。
「え、ちょっと待って。
ひょっとして、さっきの聞いてた?」

