「じゃあさ、西園寺のどこがいいの?
私、まだ西園寺のことちゃんと知らないから教えてほしいんだけど。」
聞いてみると女の子達はお互いの顔を見合う。
「西園寺様はかっこいいし、テニス上手だし、それに………」
「それってさ、西園寺のファンだったら誰でも知ってることなんじゃないの?」
「………………」
「それに”西園寺に釣り合う女”って何?
ブランド物を沢山身に付けていればそれだけで人の価値が上がると思ってるの?」
「はぁ?黙って聞いてれば………」
「私よりもあなた達が勝ってると思うんだったら、こんなことしてないで直接本人に好きだって言えばいいじゃない!
ここで私を突き倒して釘を刺せば何かが変わると思った?」
「さっきからあんた何なのよ!」
「調子乗るのも大概にしな!」
「私達はね、見てるだけでいいの!
あんたみたいな女がいきなりしゃしゃり出てきて来るから忠告してやってんのよ!」
「あんたが消えてくれればそれでいいの!
いいから早く学校から居なくなりなさいよ!」
そう言って一人が私を思いっきり壁に向かって突き飛ばした。
私は反射的に目を瞑るけど、動きが停まっても背中に痛みを感じることはなかった。
寧ろ暖かいものに包まれた感じがした。
ゆっくり目を開けると女の子達の顔色は悪く、口が半開き状態だった。
「てめぇら、俺の婚約者に何してんだ?」

