放課後、掃除当番だった私は皆よりも少し遅れてコートへと向かう。


テニスコートに近付いて行くと、いつもよりも大きな声援が聞こえていた。


校舎の陰に隠れてこそっと女の子達の様子を見ようとすると、いつもの何倍もの女の子達がコートの前に群がっていた。


この女の子達は全員テニス部の応援ってことだよね?


これではコートに入る事が出来ないので、私は少し遠回りをして女の子達が居る方と反対の入り口からコートに入る。


すると先程よりも声援が大きくなったような気がした。


「もう、テニス部レギュラーを応援するコはいないのかー。」


そう言って私の元に来るのは、さっきまで練習していたはずの玉城部長。


「レギュラーに対する声援、全員分を合わせたとしても唯那の半分もいってないよな。」


「やっぱ昨日の練習試合の影響は凄いよな。」


「あの練習試合を見て唯那のファンになったコ急増したよな。」


他のレギュラーも、私に向けられた声援が嫌になったのかベンチに逃げてくる。


「そんなことより、もうすぐ全国大会控えているんですよ?
練習しないと、負けちゃいますよ?」


そう言うと、皆は焦って立ち上がってから気合いを入れ直し、辺りが暗くなるまで練習をしていた。