彼女達に感謝の言葉を伝えながら人混みを抜けると、そのまま下駄箱に向かってダッシュする。


そして、自分の下駄箱の扉を開けると次から次へと綺麗に包装された箱や手紙が溢れて出てくる。


「朝から女の子達にモテモテね。」


そう言って後から来た裕美はニヤニヤと私を見るけど冷やかされているようにしか感じなかった。


「裕美。」


「聞いたわよ、昨日の練習試合でとんでもない相手に勝ったんだって?」


「まぁ、試合には買ったけど接戦だったし勝ったうちには入らないよ。
多分、もう一回したら確実に負ける。」


「そんな謙遜しなくても。」


「それにしても、昨日の今日で何でこんなに知れ渡ってるの?
校門に立ってた女の子の数、尋常じゃなかったんだけど。」


「あ、知らない?
今朝の新聞部の特集号に唯那が一面に載ってるのよ。ほら。」


そう言われて見せられる新聞には、確かに昨日の試合結果や内容まで細かく書かれていた。


「これを見た女の子達が一気に唯那のファンになったってわけ。
唯那のファンクラブの会員もどーんと増えたらしいわよ。」


それでこんなに早く知れ渡っているんだ。


「私もバイトが無かったら見に来たかったんだけどなぁ。」


「その気持ちだけで十分だよ。」