緊張でいっぱいいっぱいだった俺は熱くなった顔を上げる。
すると、唯那は返事をする前に涙を流していた。
「龍くん、大きくなったら私をお嫁さんにしてくれるの?」
唯那は泣きながら俺に聞き返す。
この時の俺は嬉し涙というものを知らず、どうしたらいいのか分からなくて焦っていた。
「うん、僕のお嫁さんは唯那ちゃん以外は有り得ないから。」
俺は唯那を慰めるかのように一生懸命想いを伝えた。
俺の嫁は唯那しか有り得ない。それはどれだけ年を重ねても変わらない自信しかなかった。
俺の言葉を聞くと、唯那は手の甲で一生懸命涙を拭ってから
「よろしくお願いします。」
そう言って半歩足を踏み出すと、俺の右手を握った。この時の唯那の顔は今まで見た中で一番輝いていて綺麗だった。

