唯那の家に着くと、すぐにインターホンを鳴らす。
その時の俺は全力疾走した反動で息が荒かった。
「龍くん、どうしたの?」
玄関から出て来た唯那は息が荒い俺を見て駆け寄ってくる。
「唯那ちゃんに、どうしてもこれを渡したくて、走ってきたんだ。」
そう言って俺は唯那に大きい方の指輪とチェーンを渡した。
「これはね、婚約指輪なんだ。」
「婚約指輪?」
その言葉の意味が分かっていないのか、唯那は首を傾げる。
「そう。これは将来お嫁さんにしたい人に渡すものなんだって。」
俺は母に聞いたことをそのまま唯那に伝える。
「お嫁さん………」

