なのに彼女は本当に俺のことを知らないみたいで純粋に聞いてくる。 「西園寺……龍我…………」 俺は、下を向いて聞き取れるか分からないような声で言うのが精一杯だった。 それでも彼女はきちんと俺の名前を聞いてくれたのか、笑顔になる。 「龍我くん…………じゃあ、龍くんだね!!」 俺の名前を聞いた途端、俺にあだ名をつけた彼女。 俺にあだ名をつけたのは唯那が最初で最後。 俺はそれが嬉しくて仕方なかった。 「龍くんの龍我って名前、かっこいいね!」 俺の名前をかっこいいと言ってくれたのも唯那だけだ。